「人との接触を拒絶する事で、なんとか正気をたもつ」
深夜特急のある巻で沢木耕太郎が出会った旅人の中にそんな人物が出てきた。人と会話もせず、かといって一人で何処かに出向く訳でもない。
沢木耕太郎は彼にぶどうを与え、最初は拒絶されるが、そのうちに少しだけ心をほんの少しだけ開いたような感じをうける。
でも彼が沢木耕太郎と一緒に宿から出る意思を頼りなく示したとき、沢木耕太郎は聞こえなかったふりをして部屋を出て行く。
こんなシーンをふと思い出す。
旅の紀行文であっても心に残るシーンはこんな人との交流が主だ。
珍夜特急でも観光の様子などより人との別れや一緒に旅をしていた恋人同士の別れなんかが印象深い。
以前洞窟おじさんを読んだ。
一人で洞窟に大人になっても住んでいたが、その中で、ひとときやまた長い時間を、どうそのおじさんが人と接したのかが面白かった。
別の本
漂流したおじさんの話
船で漂流して救助にあった際、身体は思うほど衰弱していなかったのにもかかわらず、助けてくれた人に気を使って、わざとよろめいたりしたシーンが可笑しくもあり、興味深かった。
僕は人付き合いが決して得意でもないし、多分好きとは言えないが、人と人とのつながりにはとても興味があるのだと思う。